新聞記事

撫順を襲った匪賊を包囲攻撃し撃退

満洲日報 1932年9月17日 朝7記事数 10本


撫順を襲ふた匪賊を
包囲攻撃し撃退
敵の損害多大遺棄死体五十
関東軍司令部発表

十六日午前零時五十分二百の匪賊撫順に現はれ各家屋に放火したるも予め警戒しあり我守備隊憲兵警察在郷軍人及公安隊等の協力包囲攻撃により午前五時多大の損害を与へ撃退せり、敵の遺棄死体五十捕虜三、我損害目下取調べ中なるが死傷七名


荒れ野と化した
焼け跡を往く
殉職社員の無残な骸

十六日午前六時夜の明くると共に撫順市街を見れば南方楊柏堡採炭所は露天堀事務所全焼せるをはじめ現場事務所、安全燈室測量室及び警官派出所も焼失、社宅は残らず破壊されてゐる、また東岡露天堀事務所全部老虎台採炭所は現場事務所安全燈室等いづれも見る影もなく焼け落ちて近代礦山の美観と偉大を誇つてゐた炭坑も一夜にして荒野と化した、しかもこの間、楊柏堡採炭所長渡邊寛一氏が槍で滅茶々々に突き刺されて東岡華工社宅の崖下に悲壮なる死を遂げてゐるをはじめ楊柏堡社宅附近には耳を斬り落とされて焼死せる満鉄社員平島善作氏大瀧氏母堂が刺殺されて更に東郷坑には労務係高口一(五二)の刺殺死体電気係口本音一(三二)の射殺死体が事務所の焼跡から発見さるゝ等全く目も当てられぬ惨状を呈してゐる、この外東郷坑土橋貞敏氏、加藤作三郎氏、守備隊土屋特務曹長、山田上等兵は負傷にて入院中である【撫順電話】


満鉄、見舞人急派
殉職者に弔電を発す

満鉄社員会では十六日の撫順炭礦襲撃事件の報に接して撫順炭礦長撫順聯合会長あて及び負傷者社員あて左のごとき弔電および見舞電を発したがさらに十六日夜行で竹森宣伝部長、松浦共済部長の両氏を実状視察かた【ゝ】見舞に撫順に急派した、なお右両氏は帰途奉天に立寄り某方面と重要懇談を行ふ筈
▲撫順炭礦長及び撫順聯合会長宛 昨夜貴礦楊柏堡東郷、老虎台、東岡各採炭所匪賊の猛襲を受け多大の被害を蒙りたる由社内上下各位の御心痛並に家族御一同の御心中真に御察し申上ぐ、其の際渡邊楊柏堡採炭所長東郷操炭所高口一、口元音一、平島善作氏等の各位壮烈悲壮なる最後を遂げ職に殉ぜられ洵に哀悼に堪へず
▲負傷者宛 昨夜匪賊の猛襲に依り東郷採炭所土橋貞敏、加藤作二郎老虎台採炭所佐藤彌作氏等各位不幸負傷せらる、切角御養生を祈り一日も早く全快せられむことを希望し茲に御見舞申し上ぐ


感謝電を発す

撫順炭礦事件に関し満鉄では十六日午後一時半、林総裁の名をもつて守備隊長、警察署長に感謝電を炭礦長に見舞電を発し、かつ炭礦長に殉職者、違族を弔問かつ供物を供へ又負傷者に紅白葡萄酒を贈るべきことを打電した


損害軽少
撫順事件被害

撫順炭礦事件の被害はその後炭礦事務所よりの電話によれば左のごとくであるが大体古いバラツクで損害額は比較的軽いと
一、老虎台採炭所(現場事務所および安全燈室全焼)
二、東ケ岡坑(坑外設備全部焼出)
三、楊柏堡(露天堀事務所全焼)
四、東郷南坑(現場事務所安全燈室労務係員室および日本人社宅一棟焼失)


徐旅長の遺骸
チチハル到着

【チチハル特電十五日発】十四日拉哈を出発し当地に向つた小泉部隊は無事午後七時当地に着した、同隊と共に○○にて戦死せし徐寳珍旅長の遺骸到着し十六日当地において本葬を行ふ、又同じく戦死せる憲兵伍長纐纈氏の遺骨も到着した


双城縣城襲撃

【ハルビン特電十六日発】十六日未明双城堡、五家間電信電話線切断され匪賊は城内に潜入放火し目下延焼中、八時五十分ハルビン発列車は双城堡にて一部乗客を下し警戒しつゝ南行した、邦人乗客十六名は下車した


明治神宮に参拜し
同僚の冥福を祈る
撫順の匪害飛報におどろく
満鉄の東京支社員

【東京特電十六日発】撫順東郷坑その他に匪賊襲来、満鉄社員死傷の報に接し、満鉄東京支社に於ては驚愕惜く所を知らず、直に見舞電報を発し勤務時間後の午後五時より緊急協議会を開き、大淵支社長、平山庶務、橋本経理両課長外全支社員集合の上、この際中間駅並に列車運行に関係ある現業社員に対し、互に薄給を割き第二回慰問金を贈呈し、併せて明十七日朝明治神宮に参拜し同僚社員の健康を祈り護符一千枚を拜受し、これを十八日渡連の途につく橋本経理課長に携行せしむることを決議した、尚満鉄支社員が出征、凱旋のわが皇軍を送迎しその戦死者の遺族慰問等を為すことは寔に隠れたる美談といはれてゐる


匪首仆る
奉天で首実見

大孤山にある満洲国軍奉天歩兵第一旅軍は十五日未明襲撃し来れる鄧鉄梅の率ひる匪賊を撃退、奮戦の後約五十名を斃し三十名を捕虜としたが右戦死者中に太刀会旅団長月成州の死骸を発見した、月は今春来太刀会匪を率ひ安奉線一帯に蟠居し鮮農を虐殺暴行の限りを尽した兇匪でこれを斃した第一旅第一衛の功績は大きい、近々同軍の手より月の首を奉天に持参の筈【奉天電話】


沿線警備へ
応援警官出発

撫順における匪賊襲撃により関東州より応援警官を出動さす事となり当大連よりも大連沙河口小崗子各署より選抜された約五十名は十六日午後九時半列車で北行したが周水より選抜旅順署応援部隊約二十名、更に普蘭店、瓦房店よりも出動、併せて○○○名が鞍山、奉天の警備に当る事となつた、駅頭には石井大連、三浦沙河口、門脇小崗子、今井消防各署長をはじめ署友家族多数この門出を見送り、壮な万歳の声におくられて威風堂々と出発した、なお大連署よりは鹽谷警部補が二十名を鞍山に、松尾部長が十名を鞍山へ、小崗子署は立石部長引率のもとに鞍山へ、沙河口署よりも松田■■■部長に引率され奉天鞍山に向つた【写真は大連駅にて】